プレリワーク
「プレリワーク」とは造語で「リワークの一歩手前」という意味です。当院のプレリワークは、精神疾患のために仕事や学校を休んでいる方が再び復職、復学を目指して生活を整え、体力をつけるベース作りをお手伝いするプログラムです。
うつ病などのため休職した方の職場への復職支援を行うプログラムを「リワーク」といい、各地の医療機関等で行われています。その有用性については多くの報告がありますが、例えば休職中でなければならない、週3日からの参加など条件が比較的厳しいことが多く、「自分にとっては敷居が高い」と思う方もいるかもしれません。当院のプレリワークはそういった方を対象に、リワークよりも緩やかな形で各種のリハビリテーションを行っています。
例えばこんなときに…
- ・休職中だが、リワークプログラムに通う自信がない。
- ・働いていたが、入院して最近退院したばかり。
- ・大学や専門学校に通っていたが、ひきこもり気味で働く自信や体力がない。
- ・再就職したいが働いていない時間が長いので、いきなり働くのは難しいと思う。
- ・病気の症状が良くなってまた働きたいが、何から始めればいいのか分からない。
- ・何度も休職や退職を繰り返してしまい、解決策を考えたい。
1日の流れ
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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10:30〜11:45 | ワーキングメモリ トレーニング |
SST / トラブルソリューション |
①健康・体力作り講座 ②問題解決教室 |
心と体のメンテナンス | メタ認知トレーニング (MCT) |
13:30〜15:00 | 対人関係 トレーニング |
HAVE FUN | マイ・ナビゲーション・ ブック(MNB) |
アサーション トレーニング |
汎化MCT |
プログラムの内容
対人関係トレーニング
日常生活や職場、家庭など、人と接する場面において、少しでもスムーズなコミュニケーションがとれるようにするためのトレーニングプログラムです。
①対人場面で活用できるスキルや知識の習得。
②自分自身の特徴や特性を理解する。
この2つを通して、人間関係作りや他者とのコミュニケーションについて考えていくプログラムです。
トラブルソリューション
誰かと意見交換をし、話をまとめることは技術が必要です。「いつも自分の主張を押し通すだけ」「人の意見を聞くだけ」ということはありませんか?
このプログラムでは自分の意見を主張しつつ相手の意見を取り入れながらまとめるための会話術を練習します。また、プレゼンテーションの練習など実践的なことも行います。
ワーキングメモリトレーニング
ワーキングメモリとは、作業や問題解決を図るときに必要な機能のことです。料理や洗濯などの家事はもちろんのこと、仕事をする際にも必要となる機能です。
「決められた時間に作業を終えるには何が必要か」「どのような手順で行う必要があるのか」「必要・不必要の判断をする」など、様々なワークを通して練習していきます。
SST
職場・家庭などの日常生活場面では様々な悩みに遭遇します。1人で抱え込んでいると悩みは尽きず徐々に大きくなってしまいます。そこでSSTプログラムではグループ全体で一つの悩みを話し合い具体的な問題解決を行います。似た体験をした人からの意見や知恵を絞ったグループの意見は問題解決の一助となるでしょう。
HAVE FUN
家族や友人以外の人と交流を持つことは意外に難しいものです。しかし、職場や学校では意外に知らない人と交流をもつ場面は多いです。休憩時間やちょっとした間合いなどで緊張なく他人と雑談できるよう、ゲームなどをして楽しみながら練習します。
健康・体力作り講座
心の病気を治療する上で運動は欠かせません。心と体をしっかりと休めることは大切ですが、この時期に思いのほか、体力が落ちてしまっていることに気付かないものです。仕事をする際はもちろん、日常生活を送る上でも体力は必須です。病気の治療のため、落ちてしまった体力を取り戻すため、プログラムに参加して体を動かしましょう。1人1人に合わせたトレーニング、ストレッチを行います。運動が苦手な人、体力に自信がない人も取り組めるプログラムです。
問題解決教室
日常生活に活かしていただけるようなテーマを月変わりで取り上げ、少人数グループでの心理教育プログラムを行います。これまでは、ストレスマネジメント、自己分析、感情について、行動活性化、キャリア形成、コラージュなど様々なものをテーマとして取り上げてきました。参加者の皆さんからの希望を募って、テーマとして取り上げたりもしています。
マイ・ナビゲーション・ブック
MNBというプログラム名は、「マイ・ナビゲーション・ブック」の頭文字です。「ナビゲーションブック」とは…「自分のことを理解したい」「自分のことを他者に伝えられるようになりたい」と考えた時に活用できるツールの1つです。本プログラムでは、その日のテーマに関する講義や自己分析を通して、自分の長所・短所、特性、問題、ストレス要因、対処法、相談先などをなるべく客観的に整理してまとめ、「自分のナビゲーションブック(自分の説明書)」を作成していきます。
心と体のメンテナンス
人は悩みや嫌なことがあると自分の考えや気持ちに意識が向きます。また反対に、自分の考えや気持ちを無視して無かったことにする場合もあります。
しかし、そうした対処によって身心の不調が生じているとも言えます。このプログラムでは「心身一如」をモットーに心と体のバランスを取ることを目的としています。「心身一如」とは心身ともに充実していること、物事に一心に集中しているさまの意味、身体と精神は一体で分けることができない一つのものの両面に過ぎないという考えです。マインドフルネス、感覚統合、アートセラピーなどを用いたワークを行います。
アサーショントレーニング
他人と関わり合う中で、自分の意見を言えずに我慢してしまって後で後悔したり、反対に感情的に言い張ってしまい、後味の悪い思いをしたことはありませんか?できれば、自分の考えや気持ちをきちんと伝えながら、相手の意見も取り入れつつ、良い人間関係を作っていきたいものです。アサーショントレーニングでは、自分も相手も大切にしながら、自分の意見を上手に伝える自己表現の方法を学びます。
メタ認知トレーニング(MCT)
私たちは何らかの出来事について悶々と考え込みます。それは日常の人付き合いによって度々生じ、いつも同じように落ち込むのです。その背景には誰もが持っている“考え方の癖”があります。この“考え方の癖”の影響で状況把握を誤ることが問題なのです。MCT(Meta cognitive training)とは“考え方の癖”によって、わずかな情報から結論に飛躍したり、誤った記憶にこだわり過ぎるなどの認知の歪みを減らすためのトレーニングです。スライドを用いた楽しいワークやグループでの話し合いを通して“考え方の癖”を修正し、より良い人間関係を作りましょう。
汎化MCT
MCTプログラムで「なるほど」「タメになった」と思っても、それを日常生活に活かすということが難しい、という意見があります。それは強く「なるほど」と思ったことも時間の経過によって忘れてしまうからです。また、MCTプログラムで学んだ場面と日常場面が異なると、学んだことを上手く活かすことができづらくなるからです。汎化MCTでは様々な日常場面において、学んだことを活かして別の視点から考えられるように練習をしていきます。
プレリワーク スタートから次のステップまで
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01
慣らし期間
プレリワークを始めたばかりの時期。少しずつ参加日を増やします。
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02
ステップアップ期
様々なプログラムに参加する時期。週5日、一日通して参加します。体調を崩さないよう気をつけましょう。
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03
移行期間
就労支援事業所や職場など次の段階に移る時期。次の職場へ慣れることを目標にプレリワーク参加を徐々に減らします。焦りは禁物です。
利用開始までの流れ
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STEP01
診察時に主治医に相談
他院受診中の方もまずは当院を受診していただきます。
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STEP02
面接・見学
プレリワークスタッフと面接・見学をしていただき、プレリワーク体験日を決定します。
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STEP03
プレリワーク体験
プログラムを半日体験していただきます。
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STEP04
申請
自立支援医療(精神通院医療)の申請をしていただきます。
※申請されていない方 -
STEP05
ご利用開始
申請後、ご利用開始となります。
開所日時
プレリワーク開所日 | 月曜~金曜(祝日は休み、年末年始は12/29~1/3まで休み) |
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時間 | 9:00~15:30 |
お問い合わせ「プレリワークについて話が聞きたい。」とお伝え下さい。
(浅井病院 代表電話)月曜~土曜 9:00~17:30※日曜祝日は休み