看護部 リクルートページ
看護部長からのメッセージ
当院の看護部の理念は「人となりを知るための繋がる看護」です。
「人となり」とは、その人に生まれつき備わっている性質や人柄の事を指し、生まれ持った性質のみならず、現時点での人物像を指して使われることもあります。
私たちは、患者様の病気そのものにとらわれるのではなく、その人本来の人柄に目を向け、性格や生活背景など、その人自身を知ることが精神科看護として重要なのだと日々感じています。
ぜひ私たちと一緒に、その人の本来を取り戻すための看護をしませんか?
看護部長 齋藤 直美
精神科の看護
大きく「急性期」「慢性期」に分かれます。
急性期の看護
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対象の患者
統合失調症、双極性感情障害、うつ病、摂食障害、認知症、知的障害などによる混乱した状態で、行動制限を要する患者さんや不安を抱える方、様々な刺激に弱い方など、かなり不安定な状態で入院してきます。
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急性期(救急)病棟の役割
急性期病棟では、90日の入院期間の中で入院時から退院に向かって看護展開を行っていきます。その人のあるべき姿を目指し、もと居た場所に帰っていただけるよう看護介入していくことが目標となります。薬物コントロールが主となりますが、混乱した状態だからこそ、その人の全体像を知り、この人はどういう人か、つまり人となりを知ることが重要なのだと考えています。退院日はあっという間に来てしまうので、短期の目標をひとつずつクリアし、退院可能な状態を目指し、多職種と協働していくことが重要です。
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看護師はどんなことをしているのか?
患者さんの精神面、身体面の状態の把握をすることで、今その人ができることを進めていくことです。それは生活全般に及ぶため、患者さんと同じ時間、同じ空間を共有し、先を見据えながら、対話や生活指導を通じて患者の今を理解し、少しずつできることを増やしていきます。
慢性期の看護
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対象の患者
急性期を脱し、陰性症状が主体となる統合失調症や、精神科リハビリが必要なうつ病などが主となります。
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慢性期病棟の役割
慢性期は入院期間が決められていないので、様々な支援も患者さんのペースに合わせて行うことが可能となります。慢性期こそ、看護師の出番と考えて、患者さんの症状の波を捉え、少しの変化も見逃さないよう、しっかりと向き合うことが重要となります。その為には、患者さんのことも知り、自分がどういう人間であるかということも知ってもらい、信頼関係の構築をしていくことが重要です。
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看護師はどんなことをしているのか?
ADLの低下防止と生活指導が主となります。陰性症状が前面に出てくる患者さんも多くいるため、今の患者さんの状態を維持、または、向上できるような関わりが重要となります。ただ、疾病と障がいを合わせ持った患者さんたちであることを忘れず、患者さんの行動の裏にある意味を汲み取りながら介入することが必要となります。それには、普段から「この人、どんな人」という視点を忘れずに、しっかり患者さんに向き合う姿勢が重要です。
精神科の看護のやりがい、おもしろさ
「精神的な健康問題を抱える対象者にその人らしさと、その生活を取り戻すために看護を提供すること」であり、「一人ひとりの内面とじっくり向き合うことのできる奥の深い人との関わり」であると考えます。行動指針にあるように、病を抱えた人という観点を忘れず、その人の生きてきた人生そのものを知るために、コツコツと地道に患者さんに関わり続けることに大きな意味があるのだと思います。
内科の看護
大きく「地域包括ケア病棟」「内科療養病棟」に分かれます。
地域包括ケア病棟は、住み慣れた自宅(施設)で、長く生活していただく事を応援する病棟です。当院の特徴として、精神疾患の患者さんの受入れも多いため、身体的治療に加え、精神面のサポートも重要となります。
内科療養病棟は、医療度が髙く、在宅や施設では対応困難な患者さんで、主にターミナル期の患者さんを受け入れています。また、短期滞在型手術入院(ポリープ切除や睡眠時無呼吸症候群の検査入院、ALTA)もあります。
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対象の患者
生活復帰を目指す高齢虚弱患者が主です。
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病棟の役割
「地域包括ケア病棟」は、生活復帰を見据えてリハビリスタッフと協働し、生活リハビリ部分を意識した関わりが重要になります。その人が戻る環境を理解し、不足している部分に焦点を当てた介入を行います。
「内科療養病棟」は、地域包括ケア病棟の後方でもあり、そこでは人生の最終段階を迎える患者さんたちが、安心して安楽に過ごせることを第一に考えた関わりを行います。安全、安楽な看護の提供の為、特に清潔保持、皮膚トラブル予防に努めています。 -
看護師はどんなことをしているのか?
療養上のお世話全般と胃婁、中心静脈栄養、褥瘡処置、末梢点滴、胸腔ドレーン等の治療に必要な処置をします。
内科の看護のやりがい、おもしろさ
看護師の関わりで、治療上の苦痛を緩和して患者さんの安楽に繋がったり、患者さんからありがとうと言われたとき、さらに看護の工夫で患者さんの問題や課題が解決したときに、やりがいや達成感を感じられます。
また、終末期の看護にも重きを置いており、人生の最終段階を穏やかに迎えられるように、この人にとって何が優先かということを考えています。ご家族から「浅井病院に入院してよかった」と、声をかけていただけることも良かったと思える瞬間です。
INTERVIEWインタビュー
看護部長と二人の師長に、当院で働く参考となる(かもしれない)ことをインタビューしてみた
精神科で看護する醍醐味
目に見えない症状だからこそ、「いつもと違う」に気づく
精神科って、どんな看護をするのか、興味深い方も多いと思うのですが?
K師長:全然知らないと、最初は恐怖心を持つのが正直なところですよね。私も、何か伝えようとしても患者さんはわからないのかな?と思っていました。でも、「あなたにこうしたいのよ」と一所懸命に指導すれば、ちゃんと応えてくれるんです。でも、きちんと向き合わなかったり適当にあしらったりすると、全然ダメ。奥が深いです。
症状に焦点を当てると、たしかに怖いかもしれません。怒り出すと止まらない患者さんもいるし、暴言や暴力を目の当たりにすることもあります。でも、そこで患者さんと距離を取り始めるのではなく、患者さんの素の状態を見ようとしなければなりません。「この人はどういう症状で入院しているのか」「あんな感じだけど、じつは、こんなところある」という部分を、他のスタッフに聞いたりして知るんです。そうすると、押してダメなら引いてみな、ではありませんけれど、患者さんとの距離感が詰まってきますね。
身体と違って精神は目に見えません。患者さんへ、どうアプローチするか?を考えるのも、やりがいにつながります。
M師長:そうですよね、どんなに忙しくても、「あの患者さん、いつもと違うなあ?」と気づく時があります。
例えば夜勤のとき、ベッドの柵に手を伸ばしてカタンとつかんだとします。そうすると、ケアスタッフが「たぶん、おしっこかな」と。声は出ませんし、じっと見ているだけなんですが、日ごろの患者さんを診ているからこそ、1つの小さな動作で、何をしたいのか、結び付けられるんですね。
看護部長:患者さんは、具合が悪くても「具合が悪いです」と言いませんからね。
いつもご飯を完食する人が残すとするでしょ?そして「下痢してない?」と聞いたら、「してない、水が出た」なんて答えたりして(笑)。たまに「血を吐いちゃったよ」と平気で言う人もいるし。
いつもと違う。本当に、大事ですよね、それ。
精神科でも、慢性期になると雰囲気は違いますか?
看護部長:慢性期こそ看護の出番!という感じですね。救急は色々な職種が関わるんですが、慢性期はより看護の必要性が高まりますね。
K師長:患者さんも、ずっと症状が悪いわけではないんです。症状には波があるので、その波を見逃さないこと。患者さんとの関係性の中で、調子が悪そうならお薬を使ったり、休息を増やしたり、少し刺激を避けてみるとかして、コントロールできるように…大波ではなく小波で抑えられることが大事です。患者さんができることを大切にしてあげる。プラスアルファ、何かができれば、その先に繋がりますし。そう、患者さんの言う通りにしてあげるのではなく、できることを増やしてあげるんです。
精神科でも、ADLを向上させて退院に近づけられる。しかも、それを看護での関わりでかなえられる。症状が落ち着いても長期入院で出来ないことが多い方もいます。この人は何ができるようになれば退院に近づくかと考えて、できることを増やしていく。患者さんの自信に繋げられうように患者さんのペースに合わせて介入していく。少しずつではありますが、それが慢性期での看護の役割ですね。
M師長:症状だけではなく、人への興味が大切になります。
看護部長:精神科は「看護って、なに?」という基本的な部分を考えさせられますね。
もちろん「なぜ、看護をしているのか?」の視点は他の科でも必要ですが、精神科の場合、それが強い気がします。
師長のやりがい、大変さ
まず、やってみる。その精神で、スタッフとのコミュニケーションも大切にしている。
師長は大変ではないか?と思うのですが。
M師長:大変だということをあえて意識はしていないですが、不安に思うことはあります。
自分にできるかな?自信がないな…そんな時、当院の先生に「まずやってみよう。必ずあなたの為になるから。」と言われました。「できない」と思うと、できない理由を探してしまうんです。でも、看護部長と同じように、「まずはやってみる」という考え方で動いています。
K師長:すごいなあ。私は不安です(笑)。自分で大丈夫かな?と。だって、責任が自分にかかってくるわけですし。でもまあ、あまりそう思っちゃうといけないので、ポジティブに考えるように努めています。なんとかなるでしょう、と。
看護部長:私も、まずは新しい風を入れてみて、という感じですね。M師長はブレないし、K師長は嫌なことでも言わなきゃいけないことは言ってくれるし。スタッフと日々コミュニケーションをとって、意見を言える関係を作っておくということが師長として大切ですね。
M師長:初めから、スタッフ全員が同じ方向を向いていたわけではなかったけど、いろんな方法で伝え続けてきたから、スタッフの言葉や行動にも現れるようになってきましたね。
K師長:私のスタンスは、主任や副師長だった頃から変わっていないですね。
自分のやるべきことはやらなきゃ。ある一定以上の部分はダメだけど、ここまではやらなきゃ。そんな感じでした。
スタッフが働きやすくなるために、師長として気を付けている点は?
M師長:特に異動して間もないころは、スタッフの事も患者さんのことも分からなかったので、スタッフとは特にコミュニケーションを取るよう意識しました。
最初は患者の把握に力を入れたのですが、患者さんが60名、さすがに難しかったです。朝早く来ても情報を取り切れない。自分の力だけでは難しい、それを悟りました。
コミュニケーションをとる中で、スタッフを少しでも理解できれば、求める役割にもつながるので、協力し合うことができ、私も管理しやすくなります。師長として「こうして欲しい」と思っていても、それを言うのではなく考えてもらうことで判断能力につなげたりしています。特に急性期は1年あっという間に過ぎてしまうので、スタッフには目標や課題を持つように働きかけています。
K師長:挨拶は、必ずしますね。すぐに「ありがとう」とも言うし。マスク越しでも、表情でスタッフの思いを感じ取ったり。残業も、そのスタッフの家族背景も考えて指示します。私も家族の発熱の対応とかで、嫌な思いもしてきたし。そもそもの残業をどうやって減らすか?も、常に考えています。
看護部長:「患者さんに関わるのと、スタッフに関わるのは、同じ」と師長には言っています。大学病院のように新卒から入る人が多い病院と違って、まったくスキルも生活背景も違いますから。スタッフの、そういう部分も知らないといけません。
いま、私は現場には出ていませんが、可能な限り足を運んでスタッフと話をしています。それと、師長からの情報をすり合わせていくんです。
M師長:部長は、探り探りではなく想いや考えをストレートに言ってくれるんです。その目的や意図も含めて、スタッフに伝えていくことが私たち師長の役割の一つかなと思います。
スタッフへのサポート・復職支援
つらいときに支える環境。ブランクがあっても心配無用。
看護部としてサポートしていることは?
M師長:頑張っている人、向き合っている人へのサポートはすごいですね。つらかった時に、看護部はもちろん、他部署の方にも支えられたので。仕事以外も含めて、一緒に悩んで考えてくれる職場はあまりないのでは、と思います。
ブランクのある看護師でも大丈夫ですか?
看護部長:まず、何に不安を持っているかを聞きます。技術面なのか、患者さんとのコミュニケーションなのか。それに見合ったアドバイスをしていきますね。例えば同じ統合失調症でも背景が違うし、「この患者さんは、どういう人なのか」をわかってもらうため、「雑談でもいいから患者とお話をしてみて」と言ったりします。患者さんを知ることにより、行動の裏にある患者さんの想いやこだわりが理解できる。だからブランクがある方は、疾患よりもまずは、患者さんの『人となり』を知るために、患者さんとたくさんお話をしてほしいと思っています。
看護師から見た、各病棟の雰囲気
A-1病棟(精神科救急病棟)
まさに今日(インタビュー当日)、いかにもA-1病棟だな、という感じだったんです。入院が4名、退院が5名、さらに新規の入院依頼が4名、3名がキャンセル…。もっと隔離にスペースがあればいいんですけど、すべて埋まった状態で依頼が急に入ったりするので。
忙しいときは、患者さんの名前も出てこなくて、特徴を先に思い出したりして。もう、てんやわんやです(笑)。その間、業務がいったん止まったり。通常の業務は、全部、中断したのかな。17時を過ぎてから、やっと薬剤、記録。もちろん、毎日ではありませんよ、こんな日は。それでも、どんなに忙しくてもスタッフは、「定時で帰る」という意識が高く、業務をこなしていました。スタッフは、病棟のチームとして一体感を持っていますね。
A-2病棟(精神科救急病棟)
こちらも救急なんですが、A-1病棟とは患者層が違うんです。A-1病棟だと、人との距離感をとれない人が多いですが、A-2病棟はすべて個室というのもあるのか、休息というイメージもあります。部屋に籠っている人もいますし。大部屋で社会復帰や対人関係が必要な患者さんはA-1病棟、個室で静かなほうが良さそうな患者さんはA-2病棟、といったところでしょうか。
それもあるのか、スタッフも20代から60代と幅広い年齢ですが、穏やかな人が多い印象。A-1病棟はスタッフも活発な印象です。A-1もA-2も救急病棟では、患者さんの症状変化にいち早く気づき対応することが求められます。
A-3病棟(精神科亜急性期治療病棟)
A-1病棟だと90日での社会復帰を目指すんですが、波が収まらないというか、まだ症状が不安定な患者さんが対象になります。救急は看護も速く展開するところ、A-3病棟は患者さんのペースに合わせて、先を見据えた形になりますね。次のステップに向けて、何をクリアしていくか?に焦点が当たる形です。
ただ、救急病棟だと90日の入院になりますが、この病棟は長期的な付き合いになるので、スタッフが特定の患者さんの対応に苦慮することもありますが、「ダメと決めつけずにまずはやってみる。」を合言葉に、チーム内で話し合って協力し合っています。
A-4病棟(地域移行機能強化病棟)
地域移行ということで、長期入院患者さんの退院に向けた取り組みを行う病棟で、唯一の開放病棟です。そのため、ADL自立から全介助の患者さんまで様々です。
慢性期はどの病棟でも、患者さんの課題に対して介入し、それぞれの目標設定をしなくてはいけません。例えば、洗濯。もともと主婦だった方なら、入院前にできていたくらいが目標になります。初めて選択する男性患者さんだと、とりあえず衣類を洗濯機に入れて、回せて、くしゃくしゃでも干せたら、目標達成になります。同じ目標でも、達成度は一律ではありません。
「いい加減」ではなく「いい加減(良い加減)」になっていただくよう対応しています。
E-1病棟(精神科高齢者療養病棟)/
E-2病棟(精神科生活介護療養病棟)
患者さんが日常の生活を過ごしていく病棟です。患者さんが過ごしやすいように気を付ける反面、あまりスタッフがやり過ぎると患者さんが依存してきてしまうので、そんな関係にならないよう注意しています。患者さんができることを増やす。それが大切です。今は若干名以外、行動制限をしていません。
E-1病棟のほうが高齢者が多いかな。でも、患者さんができていることを、スタッフが奪わない。慢性期の病棟は、治療の場でもあり、生活の場でもあるので、楽しみも取り入れつつ何ができたら患者さんのためになるか、の視点を忘れずに看護にあたっています。
B-2病棟(地域包括ケア病棟)
認知症の患者さんが多いせいか、結構、ナースコールが鳴ります。身体面を見ながら、精神面もサポートを行っています。
おそらく一般的な地域包括ケア病棟よりも、急性期的な患者さんとか、精神の関係で意思疎通を表に出せない人が多いと思います。
D病棟(医療療養病棟)
動けなくて全介助が必要な患者さんが入院しています。点滴、CV、吸引、褥瘡…。声に出せない方が多く、目の感じがいつもと違うとか、そういったことで患者さんの訴えたいことをわかってあげる、そんな看護になりますね。看護師として、これはしてあげたい、という気持ちでの看護です。気持ちが入っていなければ、看護ではなく単なる業務になってしまいますから、そこは意識しています。また、ケアスタッフを中心に、季節感を取り入れた環境作りをしており、他部署からも好評なんですよ。