広報誌「はんてん木」

浅井ヘルスケア グループ内の出来事をまとめた広報誌です。

ASAI HOSPITAL

「精神科看護倫理研修」を行いました

 今回の研修は、浅井病院看護部に所属している看護師・准看護師・ケアスタッフ(約260名)を対象に10月7日、16日、22日、29日に計4回に分けて実施しました。

 倫理とは一般的に、社会や集団の中における人としての物事の善悪や正しさを判断するための基準や根拠と言われています。看護師においても、その職業に要請される倫理が規定されています。「精神科看護師の倫理綱領」は、精神科看護にかかわる全ての看護師が備えるべき、価値観を明示したもので、安全・安心な医療の提供や医療の質を保障することに加え、対象となる人々を個人として尊重し、治療・看護のあらゆる局面において人間の尊厳の尊重を促進し、人権を保障することに努めなければなりません。しかしながら、日々の看護実践においてどのような対応に倫理的課題がはらんでいるのか、自分自身ではなかなか気づきにくい側面があります。看護師の何気ない声掛けや対応が、もしかすると患者さんの尊厳を傷つけているかも知れません。そのため、私たちは倫理的問題に気づける力(倫理的感受性)を養っていく必要があると感じ、今回の研修に至りました。

 グループワークでは、事例を通して感じた「モヤモヤ感」や「違和感」を率直に話してもらい、メンバー各々が感じた違和感は何らかの倫理的課題に直面しているサインと考え、その根拠を探っていく過程で、「精神科看護職の倫理綱領」といった基準を参考に改善策を検討してもらいました。普段の業務では交流する機会が少ない、他病棟スタッフとのグループワークではありましたが、メンバーに自身が感じたことを伝える姿や、他者の話を真剣に聞いているスタッフの姿はとても印象的でした。グループ発表では、発表者を研修担当者が事前に決めて、研修時に参加者に伝えたため、多くの方が戸惑ったと思います。初めて発表をした人や、緊張で頭が真っ白になった方もいらっしゃったと思いますが、グループ内の意見をまとめて発表してくれたおかげで、多くのスタッフの意見を共有できる機会を得ることができました。本当にありがとうございました。

 私たち精神科看護師が提供する看護援助は、精神的健康について援助を必要としている人々の個人の尊厳と権利擁護を理念として行われなければなりません。精神科看護職の倫理というのは、一部の職員の課題ではなく看護部全体の課題として向き合っていく必要があります。そして、看護倫理の研修をきっかけに、業務の中で感じる違和感やモヤモヤ感をためらうことなく言えて、みんなで改善策を検討できるような職場環境を作っていきたいと思います。