認知症について知りたい

ASAI HOSPITAL

どんな状態でも「ともに」歩むー。

「予防」と「共生」

超高齢者社会となった我が国では、認知症は一人一人の人生に組み込まれた避けられない課題といえます。そこで2023年6月に成立した「認知症基本法」では「予防」と「共生」をこれからの認知症施策の根幹としています。
「予防」とは認知症の発症や悪化を遅らせるということです。また、「共生」とは「認知症になっても住み慣れた地域社会の中でその人らしく暮らすことができる」という受動的な考え方ではなく、認知症があっても社会の一員としてより積極的に自らの人生を歩んでいく、すなわちできるだけ長く社会参加が継続できるということを目指す考え方といえます。

「自分の今を知る」そして「自分の変化を知る」

「予防」と「共生」は車の両輪のように相互に関係し合いますが、少なくとも50歳を過ぎればまずは予防についてひととおり考える必要があります。しかし、がんもそうですが、なるかならないかはっきりしないうちは、自分事として考えるモチベーションがなかなか湧いてこないものです。そこでまずは「自分の今を知る」こと、そして年々少しずつ進む「自分の変化を知る」ことが重要です。

「予防」のための脳ドック

現段階でこれらのニーズを満たすのが「認知症に十分配慮した脳ドック」です。無症状のうちから情報を得るためには保険制度の関係上脳ドックしかないとも言えます。ただMRI/MRAが主体となる脳ドックではある一時点のみで評価することは困難で、経年的な変化を縦断的に検討することが何よりも大切です。同時に認知機能のチェックも行い、得られた情報を統合して先手を打って対応するようにしたいものです。

「共生」のための治療

では、「共生」はどうでしょうか。もし認知症となったとしても、何かをあきらめないように生きていきたいものです。人は社会の中で生活していく生き物なので、人との関りが続くことが大切です。幸い、さまざまな薬物療法や物理的治療、認知療法、行動療法など、認知症予防のみならず進行を抑えるための手段は確実に増えてきており、これらを利用しつつ自分の思うような生活をできるだけ長く続ける、ということも可能となりつつあります。
しかし、受け身ではその可能性を十分に享受することはむつかしいといえます。積極的に自分らしい人生を歩み続けるという意思があってこそ、多くの方々のサポートを成果に結びつけることができます。「これから自分は〇〇がしたい」というような明確な目標があった方が医療者・介護者をはじめサポートしていただく方々も協力しやすいものです。もちろん認知症は徐々に進行し、時間の経過とともに必要なサポートも変わっていくので、その時期にあわせたきめ細かい対応が望まれます。社会との強いつながりをできるだけ長く維持していくことは共生の基本なのです。

自分らしい人生を歩む

おわりに、認知症医療に夢のような未来は待っているでしょうか。残念ながら認知症は高齢化・老化と深く関連しており「なにもなかったかのようになる」ことは、完全な若返りが達成できるようにならない限り不可能と思われます。しかし、若々しくいることは可能です。
例えば、同年代よりも走るスピードが速い、同年代よりも筋力や持久力がある、同年代よりも友達が多い、同年代よりももてる、同年代よりも趣味をたくさん持っている。人生を楽しむ結果としてこうありたいものです。