広報誌「はんてん木」

浅井ヘルスケア グループ内の出来事をまとめた広報誌です。

ASAI HOSPITAL

第57回日本てんかん学会学術集会 優秀ポスター賞受賞のご報告

 この度、2024年9月12~14日にかけて福岡国際会議場にて開催された、『第57回日本てんかん学会学術集会』に参加しました。今回、「クロザピンによる発作発現リスク~服用患者107例における検討~」という演題でポスター発表を行い、優秀ポスター賞(精神科の部)を頂くことができました。このような栄誉ある賞を頂けたことを、大変光栄に思います。

 本研究では、治療抵抗性統合失調症に対して唯一の適応を持つ抗精神病薬であるクロザピンの使用における発作発現リスクを後方視的に検討しました。クロザピンはその有効性が認められる一方で、けいれん発作のリスクが用量依存性に高まることが知られていますが、国内における発作のリスクに関する研究報告は依然として少ない状況です。本研究は、その実態に迫るべく、クロザピン服用患者107例を対象に、発作の種類や抗てんかん発作薬(ASM)の使用状況、脳波所見などを調査・分析しました。

 その結果、発作は全症例の5.6%に認められ、特に非けいれん性てんかん重積状態(NCSE)を含むケースがありました。本研究では、既存の報告と概ね一致した結果が得られましたが、NCSEの発現に注意が必要であること、そしてクロザピン治療においては脳波判読の重要性が改めて浮き彫りになりました。この結果は、クロザピン治療を行う際、てんかん診療に精通した医師との協力が不可欠であることを示唆しています。

 今回の研究を通じて、多くのご助言とご支援をいただいた浅井病院の精神科、薬剤部、日頃から患者さんのケアに尽力している病院全体のスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。また、人事総務課の担当者には大変美しいポスターを印刷していただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 今後も、今回の結果を活かし、安全な診療に役立てていければと考えています。