広報誌「はんてん木」

浅井ヘルスケア グループ内の出来事をまとめた広報誌です。

ASAI HOSPITAL

第67回日本糖尿病学会年次学術集会 参加報告

 例年、5月になると生活習慣病予防委員会としては一大イベントあります。それは学会参加そして研究報告です。

 2025年の日本糖尿病学会年次学術集会は5月29日(木)~31日(土)の3日間、岡山県で開催されました。当委員会では2001年を皮切りに、これまでに計25回の演題発表をさせて頂き、今回はリハビリテーション科が担当となり、精神科病院における糖尿病療養指導(第22報)として、「Inbodyを用いたデイケア運動プログラムの効果判定と運動習慣づくり」というテーマで報告致しました。

 精神疾患をもつ人は生活習慣病合併のリスクが高く、身体活動量の低さが課題であり、先行研究では精神疾患患者は運動中断率が高いとの報告があります。

 そこで今回、精神科デイケアの運動プログラムSPOT参加者に対して、Inbody測定と結果説明、運動指導、約10か月間の効果判定とアンケートにより、運動習慣づくりについて調査しました。結果は握力のみ有意に増加しましたが、筋肉量や体脂肪量、細胞外水分比、骨格筋指数(SMI)などに有意差は認めませんでした。しかし、運動習慣づくりの視点では、月平均の運動日数が優位に増加し、10ヶ月後の継続率も高い結果が得られた事から、Inbodyを用いる事で健康状態を可視化、運動の振り返りやフィードバックでの関りが、運動形成のきっかけの一つになったと考えられました。また、アンケート結果においても、測定による運動成果の判定やモチベーション、健康状態がわかる、反省が出来るなどの感想も得られ、精神科患者においても可視化できるツール・定期的な関わりは運動継続の動機づけに必要と感じてます。

 今回の学会発表も昨年に引き続き、原医師、目澤医師、大内医師、生活習慣病委員の皆様も参加され、会場での激励はとても心強く、良い緊張感の中で発表することができました。また、演題作成にあたりご指導頂いた先生方、委員会スタッフ、ご協力頂いた精神科デイケアスタッフの方々に、この場を借りて心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 最後に、現在、糖尿病療養指導士(CDEJ)は全16名(看護師・栄養士・薬剤師・検査技師・理学療法士)で活動しております。糖尿病を合併している患者様は臨床で数多く見受けられると思います。資格取得や学会参加で最新の知見を得ると共に、よりよい指導がチームでできたらと思います。